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「コト」から始める家づくり:作、創、造 3つの “つくる”
ブルースタジオ石井健による連載第10回は、趣味のものづくりと住まいのあり方について。趣味部屋が欲しい、クラフトルームが欲しい人は参考にしてみてください。
Takeshi Ishii
2017年11月22日
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの黎明期から1000件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの黎明期から1000件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。... もっと見る
みなさんは、普段からものづくりをしていますか? 一般的に「DIY」という概念が広まってきた今、日曜大工だけでなく、洋服を作ったり、野菜を作ったりと、手を動かしてものづくりをして、それを趣味としている人が多くなってきたと感じます。情報化社会で世の中が便利になっているなかで「手の感覚を取り戻したい」という思いがあるからではないでしょうか。今回は、「作、造、創」という3つの “つくる” をテーマに、趣味と住まいのあり方について考えてみました。
「作」手を動かす作業のための部屋
一般的に、間取りは限られ、用途を決めるまでもない日本の住宅事情ですが、少し本格的に自分のスペースを作ってみるというのも楽しいのではないでしょうか。
手芸を趣味だけでなく、仕事にもしている施主の部屋。有孔ボードに手芸の道具をずらりと並べており、欲しいアイテムをすぐに手に取れるような視認性も考えられています。3DデータやCADでパターンを作るなど、ものづくりもプロダクト化されているなかで、自分の手で作ることを忘れたくないという施主の思いが伝わってくるようです。
一般的に、間取りは限られ、用途を決めるまでもない日本の住宅事情ですが、少し本格的に自分のスペースを作ってみるというのも楽しいのではないでしょうか。
手芸を趣味だけでなく、仕事にもしている施主の部屋。有孔ボードに手芸の道具をずらりと並べており、欲しいアイテムをすぐに手に取れるような視認性も考えられています。3DデータやCADでパターンを作るなど、ものづくりもプロダクト化されているなかで、自分の手で作ることを忘れたくないという施主の思いが伝わってくるようです。
この木工部屋の工具の収納方法もユニークです。まるで工具の形に合わせたような天井のつくりになっています。ストーブや鍋を置いていることからも、ここで長時間過ごすことを想定した部屋となっているのでしょう。
趣味の世界は広く深くありますが、男性の趣味として有名なもののトップ3と言えば、プラモデル系、釣り、木工でしょう。
飛行機の木工のおもちゃのためのこの部屋は、作品の飾り方にもセンスの良さが光ります。工具もすっきりと収納され、雑然としたクラフトルームのイメージを覆すようです。
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釣りを趣味とする人のなかには、ルアーを自分で作るという人も少なくありません。もはや、「魚を釣る」ということよりも、ルアー作りに熱を上げ、目的と手段が逆転している……という人もいるのではないでしょうか。
ガレージを、自転車をチューニングする場所として使っている人もいるでしょう。深くハマればハマるほど、自分でチューンナップしたくなるのが、自転車、バイク、車。これらは趣味の定番で、専用のスペースを必要とするため、ここもある意味「趣味部屋」と呼べるわけです。
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「創」アーティスト活動を円滑にする部屋
絵画を描くための、アートスペースやアトリエ。画家の中には、自分の家にアトリエを持つ人が多いように思えます。それは、インスピレーションと自然光を常に身近に置いておきたいからでしょうか。芸術的衝動が高まり、いまこの瞬間を描きたい! と思えることや、きれいな自然光に出会ったときに、「いまだ!」とすぐに創作活動に移れる環境は、たとえ趣味であっても、芸術を本気で突き詰める人には必要なのかもしれません。クロード・モネが壮大な庭園を自宅としたように。
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いっぽう、ファッションデザイナーはディレクターやパタンナーとの共同作業が多く、ひとりでやることが他のものづくりに比べて少ないことから、アトリエを外に作る傾向にあります。アトリエというものが自宅にでき始めたのは、実は近代なのではないでしょうか。
ものづくりのプロでない限り、作業のためのスペースは家づくりの際の優先順位は高くないかもしれませんが、自分の中に湧いたインスピレーションを形にできるスペースは欲しいですね。
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「造」大きな規模で “つくる”
「ガレージは家の内と外をつなぐ存在である」という家庭が多いアメリカでは、ホームセンターで材料を購入して、ガレージや小屋を自分で建ててしまう例もあります。敷地さえあれば、まるで工場のような規模も不可能ではないのです。気に入ったスタイルの小屋がないし、お金もかかる。じゃあ自分で作っちゃう? といったノリなのでしょう。それもまた楽しいですね。
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「つくる」と言うとものづくりだと思いがちですが、もっと広範囲のことも指します。
こちらのトロントの住宅にあるのはなんと、ビールを醸造するホームブリューワリー。どこかの実験場のようなたたずまいのスペースですが、かなり本格的な設備です。
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しかも、バーカウンター、ホームシアターまであります。ビール党にとってはこれ以上ないおもてなしに違いありません。
本格的すぎて驚いたかもしれませんが、みなさんもある程度広さがあったり、大規模だったりする住まいの「造」に関して言えば、造園や家庭菜園はやったことがあるのではないでしょうか。
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日本の法律では、実はバルコニーは住む人が楽しむためではなく、消防のためにあります。しかしバルコニーでの過ごし方を、ごはんを食べたり、家具を持ち込んでゆったり過ごしたりという方面で考える人も多いでしょう。
造園まで大規模でなくても、ベランダのコンテナでの家庭菜園も、ひとつのスペースでものをつくる行為です。インテリアとしてつくり上げるとしたら、写真のように規則正しく、おしゃれな見た目で並べるのはいかがでしょうか。限られたスペースのベランダですが、高さを利用することで十分なスペースを確保でき、立派な畑になります。もはや、野菜がひとつの “作品” になるのです。
かく言う私も、この夏はナス、トマト、ししとう、枝豆を育てました。ナスは土のエネルギーを吸い上げるからトマトの隣には並べない、など、生きているもの同士ならではの相性を考えながら育て上げるのは楽しいものです。
次回は、生物との共生について掘り下げていきましょう。
「コト」から始める家づくり 過去の連載
つくる、食べる、そしてその先
集める、飾る、悦に入る
集まる、祝う、もてなす
のぼる、はねる、体当たりする
まなぶ、はたらく、とじこもる
聴く、弾く、録るを主役に
涼む、楽しむ、工夫する
やすむ、くつろぐ、オフになる
きたえる、癒す、体を育てる
教えてHouzz
理想の趣味部屋、クラフトルームを教えてください。どんなもの、機能があったら嬉しいですか?
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